花粉症編

毎年悩まされた花粉症は、
20年前の苦悩が原因だった。

「整体院で、花粉症も見てもらえるんですか?」

もともと私がtrust bodyに通っていたのは、腰のヘルニアを良くするため。

そこから「花粉症も改善しましょうか」と話が進んだのは、「40年間ずっと花粉症がひどくて…」スタッフの中田さんとの何気ない会話でポロリとこぼしたのがきっかけだった。

たしかに、春は毎年出歩きたくないほどに憂うつだったけれど、整体院で花粉症が改善できるとは信じられなかった。

それに、花粉症施術のはじめに中田さんが投げかけた「まずは『花粉=悪』という考えを見直してみましょう」という話も、耳を疑うものだった。

花粉症が発症する仕組みを詳しく聞くと、『日頃のストレスや生活習慣の悪化』で疲労が蓄積した体に、最終的に花粉が体内に入り込んで症状の引き金になることらしい。

つまり「花粉=悪」という固定観念を捨て、花粉以外の心理的な問題や習慣の問題に目を向ければ、自然と症状は良くなっていくということだった。

40年続いた花粉症が、それで本当に良くなるのか。まだ心の底から信じることはできなかったけれど、少しだけ希望のもてる話だった。

「はじめて花粉症が発症した年に起こった辛いことを、紙に書き出してみてください」

中田さんの提案に素直に答えると、走馬灯のようにあらゆる記憶が浮かんできた。我ながら、よくこんなに覚えていたな…と苦笑いが生まれる。

仕事やプライベートまで「辛かった出来事」がびっしり埋まったA4用紙は、「花粉症の発症と辛い出来事は連動する」という見立てが当たっていることを示しているようだった。

「その出来事を周りの方に話して、
共感や承認の言葉をもらってきてください」。

A4用紙を見ながら、中田さんが言う。

「自分の引っ掛かっていた過去を誰かに認めてもらうことが、一番の施術です。」

本当だろうか。

自分の過去を正直にさらけ出すのは、なんだかいたたまれないような気分だった。
それでいて、友人から「辛かったんだね」という言葉をもらうのは、不思議と悪い気がしなかった。

「お疲れ様でした。少し、お顔が晴れたように見えますね。ここからは、体への施術と生活習慣の改善を行っていきましょう」
過去の出来事を清算した私に、中田さんは笑顔で声をかけた。

そこから何度か通院しながら体の負担になる甘いものも減らしていった結果、2ヶ月の通院で、何年も悩んでいた症状はほぼ0に。

その後に迎えた春は、人生で初めて「花見が楽しい」と思えた春だった。

花粉症という「痛み」が、40年ぶりの明るい春を届けてくれたんだ、と思う。

  • 60代 女性
  • 施術期間:2ヶ月(8回通院)
  • 担当者:中田 一希